◆150周年と25回大会と24/24(2015~2018)前半/§6.ツーリングコンペティションの行方
復興支援やインバウンドで自転車が再注目されるが嫌な予感がしていた。それは、PBPブルベを日本に導入する際、日本の道路事情では時期尚早と助言してくれた輪界の重鎮に、日本の現在地を改めて尋ねると、「自転車市民権と言う山への登頂ルートを探すため麓をウロウロしている状態」と返答があったから。そして2013年の東京五輪決定や、2015年の自転車活用推進法で、予感が確信に変わった。
行政主催イベントでは、小学一年生の初登校日のような誘導が、インバウンド用コース設定では、警察からの自動車目線アドバイスが行われている。突き詰めると「一般道の自由使用(個人)と目的外使用(団体)」に辿り着き、「ソロ活動とレース活動の間に存在するグループサイクリング」とも言え、法的根拠の曖昧なグレーゾーンが浮かび上がる。それは「ソロ活動<(クラブラン≦ツーリングコンペティション≦イベントサイクリング)<レース活動」と考えられ、欧米のグラデーションは「ソロ≦クラブ≦コンペ≦イベント≦レース」となる。
世間でシェアサイクルや大規模サイクリング大会の話しが持ち上がる中、広島や徳島や岡山で講演会に招かれたり、大阪や東京の講演会にも顔を出し、さらに鹿児島市や富士河口湖町での特殊な企画にも呼ばれたりした。一方、明治維新150周年に向けた企画では、山口県と岩国市の温度差を感じ、MTB大会最後の砦と化したS社イベント25周年と日本唯一のMTB24時間耐久レース24回記念会大会では、同じ課題を持ちながら共有できずにいた。
色々な場面で、様々な意見を聞き、シェアサイクルは、自転車だけでない交通システムの見直しであり、移動手段の横断的利用「ザッピング」の考え方が新たに必用と感じ、大規模サイクリング大会を含む全ての自転車遊びソフトは、クローズドサーキットとオープンロードを組み合わせることが問題解決の糸口になると感じた。それらをまとめて守備範囲とするネットワーク再構築を目指したものが、上記6画像左端の「サイクリストライセンス」の提案になる。
“ライセンス”と言っても、自転車を楽しませるスタッフ免許も含み、等身大自転車企画「ツーリングコンペティション」を意識している。を意識している。また一方で、複数の自転車関連団体が、個人やショップを対象に、指導者検定、ガイド講習会、SBM講座、SBAA資格などを行っており、もちろんJCF審判員やJMAインストラクターもあって、ライセンス的には必要十分条件を満たしているように見える。ところが国際ルールに則った大会開催資格者と言ったオーガナイズの概念が抜けており、それが様々なイベントにも影響していた。その一例が国体のロードレースだったりする。
日本の実情では物理的、法律的に無理な部分もあるが、目的外使用の特例(※注2)がレース等で認められることも。。。
道路の目的外使用の範囲の見直しや、等身大企画の認知を進めるために、“サイクリストライセンス”をハブに、サイクリングネットワーク再構築タスクフォース(ユーザー+ショップ+地域≒地域貢献型サイクリングクラブの実証実験)で登頂しようと考えたものの、大規模イベントも行政企画も特例対応で、逆に個人は自由使用で十分のため、登頂までを求めておらず、結果的に当実験企画も含め、みんな大好き山麓散歩/ウロウロ状態が続いている。
※注2(目的外使用の特例):主催が自治体等の場合、首長のたってのお願いとして、道路の目的外使用が認められる場合がある。典型例はしまなみ海道の高速道路閉鎖のイベント。逆に県境跨ぎの復興支援イベントでは、主催が自転車関連団体のため目的外使用の申請が難しく、しかしながら地元首長や国会議員がゲストライダーとして走るため、法律を遵守した運営を工夫した。その一つが五月雨スタートと言われる時差スタートで、五人以下の一列棒状走行を可能にした。 |